玄関のすぐ外で見たことのない虫が死んでいた。
腹を見せて仰向けに死んでいた。
その虫はいかにも強そうで、風貌はスズメバチみたいで、カマキリのような刃を持っていた。
きっと、多くの人は驚いて、逃げるような虫だろう。

自分も蜂とか百足とかは怖い。
でも、何故だかその虫を少し見入ってしまった。
なんでわざわざ俺の部屋の前で息絶えたのだろうか。この虫はどんな目的を死ぬ直前に持っていたのだろうか。どんな気持ちだったのだろうか。何があったのだろうか。
たかが虫一匹されど虫一匹。
虫にも一匹一匹の生き様があるはず。思いがあるはず。そう考えている。
そういう考えは虫を人生の師匠として見るようにさせてくれる。
死と隣り合わせの世界で自身で命がけで食糧を調達する。

怖がらせる気らさらさらないけど、こちらが近づくと逃げてしまう。
虫と仲良くなれたらな。