最愛の弟に
私は小さい頃はひどく家族に迷惑をかけた。
今ではそれが大きな後悔であり、なぜあんなことをしてしまったのかと何度も悩み、涙が溢れてくる。
もちろんそんなことを悩んでいるところで何も解決はしないことはもう分かっている。
だから、大事なことはこれからの人生をかけて家族へどう償い、恩返しをしていくべきかを模索し、最善と考えられる策を講じていかねばならない。
家族にかけた後悔の中でも一番のものは、弟に対するものだ。
弟は本当にとても明るい、本当にいい奴だ。
私は兄としてしてやれることは何もなかった。
赤裸々に話して、私は利己的な暴力を振るってしまった。本当に人生の恥だ。人間としての恥だ。
お前はクズだと誰かに言われたとしても私は何も言い返すこともできないし、そもそも言い返そうと思い至ることもないと思う。
さらにはあろうことか弟の小遣いにまで手を出した。
本当に鬼なんて高貴なものじゃなく、ただのこの世のゴミのような子供だった。
自分も家庭外では色々とあったが、そんなものは言い訳にはならない。なぜなら弟は何もしていない。弟は本当に優しい子だ。
きっと私がこんなやつじゃなければ、私が生まれないか、逆に弟として生まれれば、弟は今もとても明るく、自分を塞ぎこむような性格にはならなかったはずだ。
私が変えてしまった。私が弟の人生の始めに制約を作ってしまった。本当にそのことを考えるといつも涙が止まらない。
どうすればいいんだ。どうすれば。
実は小さい頃、弟は私に何で暴力を振るうの?と聞いたことがある。クソガキな私はバカらしい返答をした気がする。
さらに、小さい頃に弟は母親に一度死にたいと言ったことがある。それっきりだった。
しかし、私も家庭外ではほとんどひとりぼっちだった。言葉の暴力を受け続け、友達と思っていた人には無視をされ、それに自分の外見が好きではなかった。そのため笑うこともあまりせず、そもそも友達と深くまで関わることができなかった。だから、ご飯も便所で食べた。ほとんどひとりで街を歩き続けた。一人暮らしして大学生活を送っている時にはあまりの寂しさに死にたいと思った。その気持ちがわかった。
話を戻すと、弟は小学生というあんなに幼い時期にその気持ちを抱いたのだ。抱かせてしまったのだ。
弟こそ本当に社会に必要な人間だ。
弟こそどんどん成長して、社会で活躍すべきだ。
弟は現在大学最終学年で就職活動も励むことになる。
まず私にできることは弟の社会デビューを、これからの人生を全力でサポートすること。
そして残りの何十年の人生を幸せなものにしてもらいたい。
私はそのためなら何でもする。それが私が行ってきた愚かな変えられない過去のせめてもの罪滅ぼしだ。
手始めに弟に1万円分の図書カードを送った。特に自由に使ってもらって構わないが、就活など何かと書籍の購入が必要なはずだ。
現在、私は新入社員なためこの程度しかできないが、いずれ金銭的なことだけでなく、色々としてやりたいと思う。